新説ヘンゼルとグレーテル

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黒ミサ当日。 私と姉リサは、鋭く研ぎ澄まされた刃の構える断頭台――その上に仲良く寝かされていた。 「まぁ、こうなると思ったよね」 私の隣で呑気にそう話すリサ。 「人間嫌いのあの人の事だもの。助命なんて考える事自体が無理だったんだよ」 リサは首を固定され、目線を下に落としたまま、私にそう話しかける。 それでも、私の心は悔しく、悲しい気持ちでいっぱいだった。 散々迫害され、人間を嫌っていたあの人の気持ちは理解出来なくはない。 でも、私達がヘンゼルとグレーテル兄妹を助けてくれる様お願いした時、あの人はこう言ったのだ。 「所詮お前達も、捨てられていたゴミだったということね。折角、立派な魔女にしてあげようと思っていたのに。まぁ良いわ。お前達の代わりなんていくらでもいるもの。お前達はその兄妹共々、今度の黒ミサの生贄にしてやろう。精々、生贄としての使命を果たしなさい」 その言葉を聞いた瞬間、私は目の前が暗くなっていくのを感じていた。 そうして、抵抗虚しく私達姉妹は囚われ、今に至るという訳だ。 断頭台に首を置き、『その瞬間』が訪れるのを半ば諦めに似た気持ちで待つ私達。 (あの人は、ヘンゼルとグレーテルも生贄にすると言っていたけれど……。あの子達は賢い子達だもの。私達が戻らなければ、きっと何かを感じ取る筈。上手く逃げてくれていると良いのだけど) 自分の処刑を待つ間、私はずっとそんなことを考えていた。
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