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と、私達が拘束されている――魔女達が黒ミサを開いているこの広場。
そこで、大きなざわめきが起きる。
同時に、聞き慣れた子供達の声が聞こえてきた。
「お姉さん達を離して下さい!」
「その人達は私達の大切な家族なのよ!乱暴しないで!」
その声にハッとする私達。
顔を見なくてもわかる。
この声は、ヘンゼルとグレーテルの声だ。
すると、私達の頭上から、至極楽しそうなあの人の声も聞こえてきた。
「おやおや、まぁまぁ、生贄が自らやって来るとは。人間はなんてバカなんだろうね」
リーダーの声に、私は改めて確信する。
(この人はやっぱり、私達だけじゃなくヘンゼル達も生贄にするつもりなんだ!)
瞬間、私とリサは心の限りに叫んでいた。
「逃げて!ヘンゼル!グレーテル!」
「お願い!あなた達だけでも生きて!」
しかし、ヘンゼルとグレーテルは逃げたりはしなかった。
ヘンゼルは強い声でリーダーにこう言ったのだ。
「僕達は、命の恩人のお姉さん達を見殺しにしてまで生きるつもりはありません」
彼の言葉に激しく動揺すると同時に、そこまで自分達を思ってくれていたのかと熱い涙が込み上げて来る私。
すると、グレーテルもまた、こう告げた。
「私達は本当は、あの日、死んでいた筈だったのだもの。それを助けてくれた命の恩人を見捨ててまで、生きていたいと思わないわ!」
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