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18時過ぎに営業所の人達がケータリングとお酒を持ってやって来た。
手分けしてブルーシートに広げる。
‘芹沢くん、これからよろしく’という所長の乾杯から始まった。
13人の小さな営業所。
先ほど橋本さんから聞いていたおかげで話題に事欠かず、すぐに打ち解けられた。
飲み会はなかなか楽しいものになった。
営業会議で何回か会ったことのある安達さんが隣に来た。
『異動初日から場所取り任務お疲れさま!
嫌じゃなかった?』
ニヤリとしながら缶ビールを渡してくれる。
『いや、まあ、驚きましたが…橋本さんとゆっくり話せたので大丈夫です。』
『加奈子ね、大人しい顔して話すと面白いでしょ?
アシスタントの仕事も素晴らしく良く出来るよ。』
本社でも名の通ったキャリアウーマンが言うのだから間違いないだろう。
『うふふ…さっそく狙っちゃう?』
僕の中に芽生えたものを見透かされないように落ち着いて返事をした。
『そうやってすぐくっつけたがるの、おばちゃんっぽいですよ。』
『加奈子の言うとおり、芹沢くんもハッキリしてて面白いわ。』
きゃははと大きく笑い缶チューハイを飲む。
『それに橋本さん、彼氏いそうじゃないっすか。』
『どうなんだろう。
入社当時はそんな話もしてたけどね。
最近は聞くと誤魔化されるんだよね。』
安達さんが酔っ払っていて助かった。
僕の探るような発言は突っ込まれなかった。
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