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月曜日、営業所の鍵を持っている僕はかなり早く家を出た。 週末からずっと落ち着かず、早く会社に行きたかった。 昨日降った雨のおかげで、駅から会社までの道は桜の花びらが散らばっていた。 金曜日、2人で話した後のお花見は普通に過ごした。 みんなが来る頃には橋本さんの涙も落ち着いていた。 昨年と同じように2人でゴミを営業所に置きに行った時、『あのさ…ありがとうね』と穏やかに言ってた。 人の過去に踏み込み過ぎたかなと後悔している。 でもさ、好きな花に囲まれて満面の笑顔でいてほしいと思ったのだから仕方ない。 おはようございます、と僕のすぐ後に事務室に入ってきた橋本さんの左手からは腕時計が無くなってブレスレットが揺れていた。 そして真っ直ぐに僕の方へ向かってきて左手を上げてみせた。 『今日の帰り、小澤珈琲に寄ってコーヒー飲んでいかない?』と囁いた。 『もちろん!』と大きく叫んだ僕を見てニッコリと微笑んだ。 あの公園を通り抜けて行こう。 桜の花びらの上を歩く橋本さんは、きっと嬉しそうに笑ってくれると思う。
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