恋の花咲くこともある

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 春爛漫。  ひんやりした空気は消え去り、暖かというよりむしろ暑いぐらいの日差しのなか、俺はひとり桜の木の下にいる。  自然あふれる市立公園。大きな池もあるし、散歩やランニングをするひとも多い。桜の季節は絶好の花見スポットとなり、屋台やキッチンカーも出店、お祭りの様相を呈する。  現時点での開花は三割程度だが、それでもちらほらと花見客はいるようで、レジャーシートを広げている団体がそこかしこに。  昼間っからいいご身分だねえ。  なんてことを言っている俺も同じように思われている――ことは、たぶんないんだろうな。面積の広いブルーシートを敷き、その中央に陣取っている背広姿の男なんて、どう見たって『花見の場所取り係』でしかない。
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