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匠は一気に喋ると、満足そうに私を見てきた。
私は匠を見つめた。
私の流した涙が勿体ないと思うような男に見えて、ガッカリしてきた。
私は何でこんな奴と付き合っていたんだろうか。
溜め息まじりに匠に話した。
「あのさ、匠。
素直で明るさしかない私とやり直したいって、言ってくれてありがとう。
たださ、私も有紗も大切な友人を蔑ろにされたくないのよ。
だから、有紗は殴ったの。
もっと人間関係を大事にする人だと思ってたのに、ガッカリしたわ。
今度は有紗を悪く言うのね。
よりを戻すなんてしないよ。」
「はぁ?
なんでだよ!」
コーヒーカップを勢いよく掴むと私にかけようとしてきて、すぐに目をつぶって顔を背けると匠の「アチッ」と言った声がした。
前を見ると匠の手を掴む男性がいて、コーヒーは匠の白いTシャツが茶色に染まっていた。
そこにはありえない人が立っていた。
「真央ちゃん、大丈夫?」
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