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私に右手を差し出してきたので、吸い込まれるように彼の手を取り握手をした。
細身の男性なのに、力強くて綺麗な指をじっと見ていた。
「名前、聞いてもいいかな?」
「あっ!私、梅原真央です。」
「真央ちゃん、宜しくね。」
「はい、宜しくお願いします。」
「ところで、気になるからあえて聞くけれど、やけ食いって何かあったの?」
彼は覗き込むように私を見て聞いてきた。
少し戸惑ったけれど、誰かには聞いて欲しい。
私は外を眺めつつ話した。
「付き合ってた彼氏にフラれたんです。
私の友人が好きになったからって。
私の友人は可愛い子なので、しょうがないなかな。
高校の時の好きな人も、彼女を好きだったんです。
そんな事も思い出して、彼女にも八つ当たりしてしまって。
そんな自分も嫌になって、自己嫌悪に陥ってた時に池波さんのポスターを見たんです。」
「池波さんじゃなくて、仁って呼んでいいよ。」
「…仁さん。」
「きっと、行きたいって思った事に何か意味があったんじゃないかな。
それが何かはすぐには、わからないかもしれないね。」
そう言うと、2人で食事をしながらカメラの事や出雲駅周辺の事を聞いた。
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