ラウンジにて

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仁さんが計画を立ててくれたので、周辺で下調べもせず観光と参拝が出来た。 参拝した後はゆっくり観光をした。 そのうちに落ち着いて、匠のことを考えられるようになった。 前に少しずつ進もう。 もう、匠の世界に私は居なくなったんだからクヨクヨ考えるのは止めよう。 他人に話したら、スッキリしたのかな。 仁さんだから…なのか。 東京駅に着く頃には、すっかり夜も更け家路に着いた。 母は『夕飯を冷蔵庫に入れてあるから温めて食べるように』と書かれてあった。 食べ終わった時に仁さんと連絡先の交換をしなかった事を後悔した。 ちゃんと御礼も出来ていないのに…。 そう思って携帯電話を見ると、匠から大量のメッセージが入っていた。 これまで連絡をくれるだけで嬉しかったのに、今は面倒くさいだけで嬉しくもない。 自分自身の心境の変化に驚く。 私、どうしたんだろう。 もしかして、有紗が好きと言われてショックだったけれど、同時に冷めていく想いもあったのかもしれない。 『また有紗か』という諦めにも似た冷めていく気持ちが確実にあったのだろう。
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