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私が言うと申し訳なさそうな様子で、おにぎりを受け取った。
その男性は20代前半のようで、顔はイケメンとは言えないが短い黒髪に背が高く細身の人だった。
ただ、彼はおにぎりを受け取った時の手が物凄く綺麗だった。
飲み物は車内で買ったのがあるので、大丈夫だと言うとおにぎりを食べはじめた。
「向こうに着くまで、食べれないと思っていたので本当に助かりました。
ありがとうございます。」
「いいえ、とんでもないです。」
そう会話した後、気まずい空気が流れる。
私はいたたまれず、話をしてみることにした。
「どちらまで行くんですか?」
「僕は倉敷までです。
これでも一応仕事なんで。」
「倉敷でお仕事…。」
「はい。
あなたはどちらまで?」
「私は出雲駅までです。」
「…という事は、出雲大社に行くんですか?」
「そうです。
駅で『友人と縁結びの旅へ』というポスターを見て、無性に行きたくなってしまって。
とりあえず、ネットで検索したらキャンセルが出ていたので、後先考えずに乗ることにしたんです。」
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