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彼は驚いたように目を見張り、私を見つめた。
そんなに無謀だったのだろうか。
私が考えていると、彼が恐る恐る尋ねてきた。
「もしかして、ホテルとか決めてない?」
「はい、日帰りでいいかなくらいに思ってます。」
「…えー!」
「参拝したら帰るつもりだったから、何とかなるかなぁと思って。」
「その日のうちに帰るなら、3時過ぎには出ないとだめだよ。
意外とゆっくり過ごしてしまうような場所だから。」
そう言うと早口で帰りの電車を説明してくれるので、私は携帯電話でメモをした。
女性の1人旅はちゃんと準備をしてからじゃないと、ダメだと言われてしまった。
私が少し反省する様子を見せたら、フッと笑って言った。
「それに可愛い女の子が1人旅ですなんて、むやみやたらに男に言わない方がいいよ。
気をつけないとね。」
「は、はい。
ありがとうございます。」
「これはあのポスターを見て、出雲へ行きたいと思ってくれた御礼だよ。」
「御礼?」
「あぁ、君の見たポスターは僕の写真が使われたんだ。
改めて池波仁です。宜しく。」
「あのポスター…」
「自信が無かったんだけれど、君の一言で明日の仕事も頑張れるよ。」
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