鬼たちの引っ越し大作戦!

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鬼たちの引っ越し大作戦!

 昔々、あるところにおじいさんとおばあさんが暮らしていた。  おじいさんは山へ芝刈りに、おばあさんは川で洗濯をするのが日課である。  二人の貧しくも穏やかな生活は、おばあさんが川で巨大な桃を拾ったことで一変することとなった。どんぶらこ、どんぶらこ、と流れてきた巨大な桃を食べようと割ってみると、中から赤ん坊がオギャアと生まれてきたからである。  おじいさんとおばあさんは、その赤ん坊に桃太郎と名付けて可愛がることにした。  まあ、桃からうまれた桃太郎が、普通の人間であろうはずもなく。  彼は人間ではありえない速度で大きくなり、しかも普通の男たちより遥かに大きな体躯と怪力を持っていた。  しかし、おじいさんとおばあさんの影響で、誰より優しく、正義感に満ち溢れた青年でもあったのである。彼はある日、村で噂を耳にする。とある漁村を、悪い鬼たちが苦しめていると。漁村の人々の食べ物や宝物を盗んだり乱暴したりするので、大層困っていると。  桃太郎は正義感に燃え、鬼退治へ向かうことに。  おばあさんに貰った黍団子を使い、猿、雉、犬のお供たちをゲット。鬼ヶ島に向かった桃太郎は、彼等の協力もあって鬼たちをばったばったとなぎ倒し、あっというまに首領をも撃破することとなる。  桃太郎は彼等からがっぽり宝物を奪い取った。  漁村は桃太郎を、村を救ってくれた英雄と称えた。そして奪った宝物で、以降はおじいさんおばあさんと共に豊かな暮らしができたという。  めであし、めでたし。  ……とまあ、これが、一般的に知られている桃太郎の昔話なのだが。  実際の桃太郎は、まったく違う話であったことを読者諸兄はご存知だろうか。
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