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壺
「どうして割ったりしたの?」
母が私に対し、獣のように歯を剥き出し言った。普段は大人しいくらいの人なのに。
優しい父が取りなそうとする。
「また買えばいいじゃないか」
「新しくって、あなた!」
母の一方的に責める口調に、私はカッとなる。
「私、知っているんだよ!」
「何をよ?」
「あの壺には悪魔が入ってるんだ。寝室に飾って、夜中出てきた悪魔に、お父さんを殺させたかったんだ!」
父がギクリと私を見た。
「何故お前が知ってるんだ……」
「知ってるんだ……って。お父さん、何言ってるの?」
母が頭を左右に振る。
「入っていたのは悪魔じゃない。お父さんなの。お父さん、実は壺の魔人なのよ」
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