みんなで見ル

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みんなで見ル

「咲ちゃん、まぁその件はいいとしてさ。少し話を聞いてほしい」  花崎さんは、僕が間に入って打ち解けたんだもん良き良きみたいに完結させて、話を先へと進めていった。  私はどこに隠れているかも分からないシミさんを目だけで追い回し、牽制を解かないまま話の続きを待った。 「咲ちゃん、僕が自宅に君を招かない理由についてだ。シミさんにも聞いてほしい」  またシミだよ。シミを交えて話すなんて、ほんともう家族だわ、これ。 「僕のアパートにはね、地縛霊ちゃんがいるんだ」 ──『 なぬんっっ! 』 「シミさんには気づかれてたようだから、君に黙っているわけにはもういかなくて」 ──ゴッゴン(えっへん)♪ 「あはは、やっぱり男らしい家鳴りだね。うちの子は『コココ』って女の子らしく鳴るんだよ」  なんだこれ。ヤキモチのしようがないな。 「それでね、うちの子も咲ちゃんの卵焼きが食べたいって。夜桜見ながら卵焼き食べたら浄化()ける気がするって言うんだ」  いま秋ですよ? 「うちの子は浄化(じょうか)()って約束をしてくれた。シミさんも一緒にどうかなって思って」  それは願ってもない話だけど、シミは平気で居残ると思うよ。  全然いると思う。 「ところで地縛霊の移動は外にでも可能なの?」  私は素朴な疑問を投げかけた。家の中は移動するって分かったけど地縛ってだけあって、夜桜に出かけられませんて言い訳されるの嫌よ。 「ああ、それは大丈夫。媒体というか、僕や咲ちゃんがいれば自由に歩けるよ」  だから、そういうの怖いんですけど。  でも、ま、仕方がないね。プロポーズはその後かもしれないって期待を気長に来春まで持ちますか。 「それじゃ、今夜はお月見。来年は、お花見ル? でいいかな」  極上の卵焼きを大量に作って浄化()かせてあげる確実に! ──ゴゴゴ ──コココ あれ? なんか増えた? (増員)
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