16時32分

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16時32分

  下校チャイム鳴り響く中、悲鳴をあげずに済んだのは、舐めていたミント飴が喉奥でそれを()き止めてくれたからだ。 「ううっ、、げほげほっ、、」 でもそのミント飴は死と隣り合わせだった事に気付き、激しく咳き込む。 「新田(にった)ぁ、大丈夫かぁ!?」 靴箱横を通りがかった現代文の板倉(いたくら)先生が、その日初めて私に声をかけた人。 「だ、、いじょうぶです」 「そか?気をつけて帰れよー」 板倉先生が行ってしまうと、私は周囲を見渡し靴箱に向き直る。 よし、誰もいない。 一度は閉じてしまった靴箱をそろりと開け、 ローファーの上にあるそのメモを取り出した。 【新田莉子(りこ)様。 大事な話があります。 放課後、屋上で待っています。             2年A組 三条(さんじょう) (かなで)】 流れるような達筆が、私の名前を書いている。 それだけで胸が爆発しそうだっていうのに、 呼び出されるという宝くじ的確率のものまで。 嗚呼叫びたい。いや踊りちらかしたい。 苦節10年のこの想いがまさか、叶う日が来るなんてだ。
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