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まず、1年のクラスが同じでなかった、という現実が私を叩きのめし、続けて2学年、つい3日前のクラス発表でも、彼の名前は違うクラスにあった。
だが何より最悪なのは、彼を取り巻く周囲の環境だ。
幼稚舎から人気者である三条 奏の周りには、常に大勢の仲間やら彼を狙うお嬢様軍団がいて、私が偶然を装い話しかける隙間なんて、どこにも落ちていなかったのだ。
やたらと季節だけが流れる中、焦燥感は募るばかり。
これで万が一、最後に彼と同じクラスになれたとて、
卒業するまで一言も話せないパターンは安易に想像できた。
何の為に太晴に来たのか思い出せ莉子!
そんな風に自分を奮い立たせはしても、
彼との距離は月より遠いことを噛み締めた。
『やっぱりそうだったのね。
高校に入っても遊ぶ相手はミィちゃんだけだし、
ママはおかしいなと思ってたのよ。
あんたがどうしてもって言うから受験させたけど、
あんたと同じ高校入学の子達は、早々全員辞めたっていうし、
残る生徒はみんな幼稚園から一緒の同級生なんだから、どうしたって仲間はずれになっちゃうか。
うーん、、、そうだ!
今からでも何か部活動入ってみれば?
友達の1人でもできるかもよ。ね、パパ』
2年始めの懇談会。
担任の、『と、友達はまだ難しいかー』という
余計な一言により、ごまかし続けた私の孤立が、とうとう親の知るところとなってしまった。
でもママが言うように高校入学だからってだけじゃない。
制服がお揃いなだけで、見るからに毛色の違う私と友達になろうなんて猛者は、2年経つ今でも現れないし、たった4人の高校入学組は、そんな孤独に負け散ってったのだ。
『そうだぞ、莉子。いくらお坊ちゃんやお嬢ちゃんでも、部活で一緒に汗を流せばきっと分かり合える。
それでもダメで辛いなら、転校したってかまわない。パパもママも莉子が普通に楽しく生きてほしい。
太晴を出て有名大学に入って大企業に就職なんて、
これっぽっちも望んじゃいないよ』
平々凡々なサラリーマン家庭である新田家。
それでも1人っ子の私は、両親のお金も愛情も、
一心に受けてきた。
私立の受験だって、大家族ならきっと叶わなかっただろう。
でもごめんね、パパ、ママ。
部活動をしないのは、三条 奏が帰宅部だから。
それに高校の友達なんて1人もいなくて良い。
3年間でいつ彼に認識されるかが問題なんだよ。
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