16時32分

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 まず、1年のクラスが同じでなかった、という現実が私を叩きのめし、続けて2学年、つい3日前のクラス発表でも、彼の名前は違うクラスにあった。 だが何より最悪なのは、彼を取り巻く周囲の環境だ。 幼稚舎から人気者である三条 奏の周りには、常に大勢の仲間やら彼を狙うお嬢様軍団がいて、私が偶然を装い話しかける隙間なんて、どこにも落ちていなかったのだ。 やたらと季節だけが流れる中、焦燥感は募るばかり。 これで万が一、最後に彼と同じクラスになれたとて、 卒業するまで一言も話せないパターンは安易に想像できた。 何の為に太晴に来たのか思い出せ莉子! そんな風に自分を奮い立たせはしても、 彼との距離は月より遠いことを噛み締めた。 『やっぱりそうだったのね。 高校に入っても遊ぶ相手はミィちゃんだけだし、 ママはおかしいなと思ってたのよ。 あんたがどうしてもって言うから受験させたけど、 あんたと同じ高校入学の子達は、早々全員辞めたっていうし、 残る生徒はみんな幼稚園から一緒の同級生なんだから、どうしたって仲間はずれになっちゃうか。 うーん、、、そうだ! 今からでも何か部活動入ってみれば? 友達の1人でもできるかもよ。ね、パパ』 2年始めの懇談会。 担任の、『と、友達はまだ難しいかー』という 余計な一言により、ごまかし続けた私の孤立が、とうとう親の知るところとなってしまった。 でもママが言うように高校入学だからってだけじゃない。 制服がお揃いなだけで、見るからに毛色の違う私と友達になろうなんて猛者(もさ)は、2年経つ今でも現れないし、たった4人の高校入学組は、そんな孤独に負け散ってったのだ。 『そうだぞ、莉子。いくらお坊ちゃんやお嬢ちゃんでも、部活で一緒に汗を流せばきっと分かり合える。 それでもダメで辛いなら、転校したってかまわない。パパもママも莉子が普通に楽しく生きてほしい。 太晴を出て有名大学に入って大企業に就職なんて、 これっぽっちも望んじゃいないよ』 平々凡々なサラリーマン家庭である新田家。 それでも1人っ子の私は、両親のお金も愛情も、 一心に受けてきた。 私立の受験だって、大家族ならきっと叶わなかっただろう。 でもごめんね、パパ、ママ。 部活動をしないのは、三条 奏が帰宅部だから。 それに高校の友達なんて1人もいなくて良い。 3年間でいつ彼に認識されるかが問題なんだよ。
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