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やはり俺とは頭の出来が全然違っていた七瀬は、公立の進学校へ。
そして俺は目指していた公立も落ち、第二希望だった私立高校へ。
まあ、俺はどっちでも良かったんだけどな、両方ともサッカー部強いし。
ただ、家では父、母、姉までが、口を揃えて『お向かいの七瀬ちゃんは』と俺との出来を比べる始末、まあ面白くはない。
でも、それ以上に面白くないのが……。
今日も来た、アイツだ。
七瀬を見つけて声をかけ、隣にならんで何やら楽しそうに会話を始めているイケメン。
七瀬と同じ制服を着たアイツは、隣の中学で生徒会長をしていたそうだ、と聞いたことがある。
別にこっちから聞いたわけじゃなくて、俺が見ていたことに気づいた七瀬が教えてくれただけ。
あまりその様子を見ていると、また気づかれてしまいそうで視線を落としたら、不意にスマホが震える。
ポケットから取り出したら七瀬からのメッセージ。
『壮馬、今日の夜サッカー日本代表戦あるよね! 楽しみだね』
顔をあげたら、丁度向かいのホームに先に電車が入ってきたところで、七瀬の姿が隠れてしまう。
『もちろん、知ってるつうの』
ありがとう、じゃなくて、当然みたいな俺の返事はすぐに既読となり、親指を立てたスタンプが送られてきたと同時に、七瀬を乗せた電車が走り出す。
『七瀬、気をつけてな』
『壮馬もね!』
俺の気をつけての意味を知ってか知らずか、七瀬の能天気な返事を置いて空になった向かいのホームから目を反らそうとしたら。
「壮馬っ!」
七瀬の声が聞こえた。
え? なんで? 電車乗らなかったのか?
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