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次に、やっぱり私はおかしいんだと思ったのは小学校に入学してすぐだった。 「ぶーす」 「バーカ」 「運動音痴」 私は男子からからかわれるようになった。 「や、やめてよっ」 勇気を出して抵抗してみたこともあったけど、男子たちは更に調子に乗って私のマネをしたりしてきた。 先生に相談してもほんのわずかの間しか効果はなかった。しかも、男子は先生に告げ口した私を責めたりした。 そんなことを何度も繰り返しているうちに、担任の先生の態度もだんだん変わってきた。 「あなたも自分の意見をはっきり言わないと」 「いちいち反応するから、面白がられる」 暴力を振るわれるとか、物がなくなるとか、そういう形が残るやり方ではなかった。 親に訴えても状況を目の当たりにしていなかったせいか、担任と似たような対応だった。 「聞き間違いかもしれないよ?」 「気にしすぎじゃないの?」 「そのくらいの年頃の男の子は、好きな人に意地悪な態度を取るものなんだよ」 納得できなかったが、小学1年生の私には反論できるだけの語彙がなかった。 大人は「嫌だ」と言ってもやめてくれないヤツらの肩を持つ。好きな人に意地悪をするなんて心理は、私には理解できない。自分が好かれているとも思えない。 私はもう、この件で大人に期待するのは諦めた。
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