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案の定、男子が再び私をからかいはじめた。
「これ、お前の走り方ー」とか言いながら、変な動きをしてるヤツ。それと私を見比べてギャハハと笑うヤツら。
「こっち見てんじゃねーよ! バーカ!」
「キモいんだよ! ブース!」
「名前変えろよ! 暗いくせに明るい音とか名乗るんじゃねーよ! お前の親もバカなんじゃね?」
走り方は自分では見ることができないから、本当にあんな動きをしているのかはわからない。もしかしたら本当にあんなふうなのかもしれない。
バカ、ブス、キモいは、個人の主観によるものだから、そう思われているなら仕方ない。
実際バカとブスはあながち間違ってもいないとも思う。
名前については自分でもそう思う。『明音』なんて似合ってない。せめて『茜』ならよかった。それでも何か言うヤツはいるだろうけど。あいつらが気に入らないのは名前ではなく、私なのだから。
まだ他にも更にひどいことを言われた気がする。でも聞きたくなかったし記憶するのも嫌だ。なかったことにすれば良い。
いろんな意見はあると思うが、決定的なことがある。
事実でも事実でなくても、面と向かって言ってはいけない言葉はある。しかも集団で指差して嗤うなんて最低だ。
6年生にもなって、そんな判断もできないなんて理解不能。
そんな奴らに、私の大切な心を乱されるなんて絶対に嫌だ。言い返しても前みたいにからかわれるだけだろう。ヤツらが成長しているとは思えない。私は完全に無視することにした。
私の態度にいけないところがあったのかもしれないが、この仕打ちがそれと見合うものだとは思えなかった。
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