水沼メイの意外な素顔

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「それは駄目だ。メイさん。そんな人といては、自分が、嫌いに……なる、から……」  詳しく話を聞くはずが、大雅は自分を止められなくなっていた。  頭の中で、『大雅に頼めば大丈夫だって』と笑う男の声が、『永禮(ながれ)が言えばなんとかなるだろ』と言い捨てるようにかけられた言葉が、『大雅、あの子が呼んでたから行ってあげてくれない? そうしたら許してあげてもいいんだけど』と冷たく言う従姉の声が、次々に頭に響く。 「永禮(ながれ)くん……? どうしたの? なんだか体調悪そうだよ?」  大雅を気遣っている水沼の声が、遠ざかっていく。  リヨウカチガアルカラ、タイガハショセン、リヨウシテルダケ。  エーヤダ、ツカエナイ。 「(カツラ)!!!!」  聞き慣れた声が叫んでいる。  ーーなんだよ、カツラって。僕のどこがカツラなんだよ。  遠くなる意識でそんなことを思っていると、「犬山さん!! 弟さんが!!」と必死に説明をする水沼の声が聞こえる。  ーーいぬ、やま。 「水沼さん、すいません。こいつ、ちょっとトラウマがあって。この件は秘密にしてもらえませんか?」 「も、勿論です! 私、わきまえているオタクなので!」  2人のやり取りを聞きながら、自分の身体が誰かに担がれているのをぼーっと他人事のように見ていた。  ーーしまったな、まだ、連絡先を聞いてないのに……。  そう思った時には、景色が目まぐるしく変わっていた。
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