使えない助手

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 毛布を剥いでベッドから出ようとする大雅に「いい、そのままで」と恭祐が制する。「水沼を呼んでくるから」と部屋を出て行ってしまった。  恐らく、倒れた時にいた店からあまり離れていない場所なのだろう。  すぐに部屋の扉がそっと開き、水沼メイが顔を覗かせた。 「永禮(ながれ)くん、もう大丈夫ですか……?」 「あ、はい。なんだかすいませんでした」  水沼が泣きそうな顔をしている。なぜこの人がこんな顔を、と大雅が驚いていると、じわりと涙を浮かべ、大雅のいるベッドのところまで歩いてきた。 「まさか、永禮(ながれ)くんがそんな深い傷を負っていたなんて知らなくて、私、軽率に……」 「いや、僕が何も言わなかっただけです。水沼さんは何も悪くないですよ」  大雅もこんな風に倒れるなど想像できなかった。  二人が深刻な顔でこちらを見ていて、申し訳ない気持ちになってくる。 「水沼さん、消費されるために自分を使っていたら、僕のようになってしまうんです。だから、その人と離れてください。水沼さんは、アイドルが好きだと言ってハキハキと話されている時の方が素敵です。そんな水沼さんでいられるかたを選んで欲しいなと思うので」  隣で聞いていた恭祐が遮るだろうかと思っていたが、何も言われなかった。  出過ぎたことを後で叱られるかもしれないな、と大雅は思う。  それでも、言わずにはいられなかっただけだ。
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