使えない助手

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「まあ、恐らく本件はこれで完了になるだろう。経歴詐称はなかったし、他の興信所からの調査結果を見ても仕事は確実で実績はしっかりしている。人となりに関しては水沼さんがいるわけだし、プライベートを知る人はすぐに集められるだろう。会社が面談の場を設けるだけでも充分だと俺は思う」  そこで水沼が、「え、もう永禮(ながれ)くん……(カツラ)くんと会えなくなっちゃうんですか?」と唖然とした。 「うーん、どうかな、(カツラ)。水沼さんがこう言ってるんだが」 「……?」 「今回俺が指示した任務的に、まだ完了していないことがあるんじゃないか?」 「…………あっ!」  ベッドの上で大雅は自分のポケットを漁る。そして、契約したばかりの銀色のスマートフォンを手に持った。 「水沼さん、連絡先、交換しませんか?」 「ええっ?! いいんですか?? そんな、どうしよう! ファン相手にいいんですか? ああ! 是非! お願いします!!」  水沼メイはストラップで肩から下げているスマートフォンを握り、慌てふためきながら大雅のそばに駆け寄る。  そうして二人が連絡先の交換をしているのを、恭祐は穏やかに眺めていた。 「実働2日か。2週間120万円の仕事が、随分小さくなったもんだ」  そう呟いて、大雅の笑顔と興奮している水沼に背を向ける。
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