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「まあ、ちょうど今夜は満月だしな。夜の張り込みは厳しかったから助かった」
「満月だと張り込みができなくなるんですか? 僕の能力は、満月になると弱くなるんですけど」
「……へえ」
そんな話をしているうちに朝食を終え、恭祐は二人分の皿を洗い始めた。
大雅が料理をしようかと提案したところ、皿洗いならできると恭祐が数少ない得意な家事を担当することになったのだ。
「やっぱり、他人の手料理ってのは良いなあ」
「大したものじゃないですけど……こんなので良かったら」
「おいおい。分かってないねえ、桂くんは。誰かに作ってもらったってのが大事なんだよ」
洗剤を水で流しながら、恭祐は得意げに言う。そんなに手料理に飢えていたのだろうか。
「今日は仕事が無くなったのでオフですか?」
「うーん、まあ、本来なら槇田の件をやってたところだからな。仕事は入れていないが、俺は引きこもろうと思う」
「じゃあ、僕は……」
「買い物を頼みたい。まあ、日用品とか食材とか、俺が家から出ずに済むようにしてくれればいい」
恭祐の引きこもり計画がおおごとのように聞こえるが、気のせいだろうかと首を傾げる。
大雅は恭祐から買い物リストを受け取ったが、ほとんどが食材だった。
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