エピローグ:探偵は忍ばず

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   恭祐は一日中部屋にこもっていた。  昼食をどうするのか声をかけた時も、夜までは寝ていたいから要らないと言われて全く部屋から出てきていない。  大雅は部屋の掃除をひととおり終えて、折角だからと夕食のメニューを考え始める。  自炊歴は4年ほど。外食をすると誰かに目をつけられるので、自分が食べるための料理をそれなりにやって来ていた。 「買ってきた食材で夕食を作っておいて欲しいって、メニューの指定はないんだな」  豚肉、鶏肉、牛肉、ハム、ベーコン、卵、牛乳、あとは適当に野菜を、と動物性タンパク質だけを食材リストに強調されたが、これでは一体何を食べたいのか想像がつかない。  ーーチキンピラフと、スープにサラダでどうだろう。  そんなことを考えながら、小さなキッチンに立つ。  作業が形になる料理は、家事の中でもそれなりに好きだった。
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