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「よし。鶏肉の入った、このトマトの炊き込み飯をもう一杯」
「チキンピラフです」
白い平皿に盛り付けたピラフを早々に平らげた恭祐は、目をキラキラさせながら尻尾を振っておかわりを要求している。
大雅は恭祐の平皿を受け取って、残っているピラフを全てよそった。
「どうぞ」
「桂は家事が得意なんだな!」
「いや、所長が極端に苦手なだけだと思います。僕は人並みですよ」
「いいじゃねえか、人外なのに人並みってのは」
「そうなんですかね」
人ではないのに人並みにできるなら、得意ということなのかもしれない。
大雅の外見には妖怪らしい要素はなかったが、羨まれる外見を持ってしても沢山の苦労をしてきた。
目に見えるものだけが全てではない。
玉ねぎとベーコンの入ったコンソメスープをすすり、うまみを感じながら大雅はうなずく。
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