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「なんなんですか、この汚部屋……」
「はははは。俺は依頼人のところまで出向いて打ち合わせをするタイプなため、事務所がどんな状態でも問題はない!」
「他人に見せないところはどうでもいいとか思ってませんよね……?」
「ちなみに、事務所の奥に居住用の部屋がふたつあり、幸いひと部屋空いている。ありがたく使うがいい」
片方が恭祐の部屋なのだろうと思ったが、事務所の散らかり具合からして居住スペースも碌な状態ではないだろうと大雅は無言で周りを見回す。
デスクは2×2の状態で4つほど並んでいるが、煩雑に積まれた書類で埋まっていて隙間すら見当たらない。
床には古新聞が絶妙なバランスで積まれていたり、古雑誌が散らばっていて、必要なものなのかそうでないのかも分からない。この散らかり具合にしては埃が立っていないのが奇跡だが、換気と備え付けられた空気清浄機のお陰なのだろう。
「このデスクで仕事してるんですか?」
「ああ。書き物をするときやPCを使う時は書類をスススーっと……」
「横にただ寄せるのは片付けにはなりませんよ?」
恭祐がぎくりとしたのが見えて、大雅は事務所の荒れようを改めて眺める。
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