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それって──。
「あかりさんには飾りを身に着けて毎日、嘘ついて生きる僕は釣り合わないかなってね」
「そんなの──わたしの方が」
そう言って、顔を上げると三秋くんは照れくさそうに言った。
「昔のあかりさんも変わったあかりさんも、僕は好きだよ」
そう言って、真っ直ぐ私を見て
「僕なんかでよければ──」
「よろしくお願いします」
そう言って、わたしの手を取ったまま頭を下げる
「こちらこそよろしくお願いします」
──わたしの思い叶ったんだ、いやまだ。
わたしは繋いだ両手を離して、ゆっくりと近い三秋くんとの距離をさらに縮めて──。
両手で抱きしめた。三秋くんの体温を感じる──。
「あかりさん・・・・」
「ほんとはね、電車に乗ってる時から三秋くんに触れたかったんだ」
「僕も、本当はずっと夜景見てる感じ出して横に居るあかりさんを意識してたよ」
三秋くんも両手をわたしの背中に置く
「本当かなー」
──わたしたちの距離はゼロになった。そして三秋くんはわたしのかばんの中のイヤホンをわたしと三秋くんの耳につけようとする。
「プレイリスト再生しっぱなしだよね」
「うん、止め忘れてた」
そして三秋くんとわたしはイヤホンをつける流れていた曲は──。
──『ゼロ距離の幸せ』結ばれて思い人との距離がゼロになった時の幸せを歌う曲。
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