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そう言って笑顔をこちらに向け続けている。わたしはそんな彼を直視することが出来ず、視線を外して、
「あ、あの、ありがとう。あの時、わたし凄く嬉しかった」
「うん、まあ困ったらいつでも頼ってよ。力になれるか分からないけどさ」
そう言うと一時限の国語の教師が入ってきて、
「はーい席に着いて」
「一時限は国語か、じゃあ、あかりさんまた」
「うん、またね・・・・」
そう言うと、三秋くんは自分の席に戻っていく──。
その背中がなんだか、名残惜しく感じた。
授業中は三秋くんに話しかけられた嬉しさと、あの笑顔が頭の中から離れなかった。
──やっぱり優しかった
わたしが一番惹かれたところは、彼の優しさだ。彼は誰に対しても同じくらい優しいのだけど、そういうところ
が好きだった。
でも逆に、三秋くんに恋をしているわたしは、その優しさを自分に一番向けて欲しい。
そう、出来ることなら──三秋くんの良いところを独り占めにしたいと思ってる。
3時限目の授業が終わり、お昼の時間になった。教室のクラスメイト達は、各々机や椅子を友達同士でくっつけてお弁当をひろげる。
「あかり、一緒に食べよ!」
そう言って黒い髪を後ろに結んだポニーテールの女の子がわたしのところに机をくっつける。
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