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「この後は宴だ。また色々と話しを聞きたい。勝者への褒美は後で届けさせよう」
王は新しい飼い犬を得て満足気に頷いた。
嵌まった首枷は引き千切ればいい。だが、どうやって──
謁見の後、一旦部屋に戻ると勝者への褒美として男女合わせて十人の奴隷、絹織物、縫製された豪華な衣装に香油に果物、金貨宝石類等が届けられた。
加えて高官から、後日邸を与えられると告げられた。下賜された男女の奴隷と、褒美の山こそが首枷のようで窒息しそうだった。
邸は豪華な檻といったところだ。
アッバスよりも待遇の良い犬に成り下がっただけ。
勝利すれば明るい道が開けると王都を目指したのに、結局同じ階段を下から上へと昇っているに過ぎない。後ろを振り返ればサラディバの向こうに少年時代を過ごした海沿いの小さな町カティフが見えるが、上には一体何があるのだろう。海面に顔を出せば息が出来ると思ったら、上に上がれば上がるほど息が苦しくなっていく。
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