8/12
前へ
/219ページ
次へ
全裸になった男女は木の下で、葉陰で、木製の椅子の上で、中央の噴水の飛沫を浴びながら、思い思いの場所で交わり始めた。男と女、男二人と女、男と男、女と女。鮮緑紅花が影を作る庭で、生まれたままの姿で欲望を存分に発露させる。 シェへラザードの肉と蜜の香りに屈し、モルテザも未だ経験したことのない危険な遊戯に没頭した。降り注ぐ陽光に煌めく水滴を浴びながら、汗を散らせ肉をぶつけ合う。シェへラザードの秘奥から溢れる蜜がモルテザから理性を剥ぎ取っていく。 現の時の流れを忘れ蛇のように絡み合う二人の側に、林檎がポトリと落ちて転がった。細やかな啓示。モルテザはシェへラザードの細い脚を抱え上げると、彼女の悦びのために精を注いだ。 奪うのではなく与える喜びに恍惚となりながら快楽に耽る。腰を離せばたちまち三人の女達がモルテザを囲み、欲の勢いが衰えないよう指と唇で煽り立てる。やがて欲望の炎は欲望の器で鎮火された。
/219ページ

最初のコメントを投稿しよう!

33人が本棚に入れています
本棚に追加