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6.ソメイヨシノ・エンド
そこからはトントン拍子だった。
クローンを想定した計画の脆弱性に気づいた理央会長は、みんなで力を合わせて人類滅亡の危機に立ち向かうことを決意。
拘束していた学園メンバーたちを解放したってワケ。
え? ご都合主義すぎるって?
そりゃ、ここはゲームの世界ですから。
つまりね、バグが発生すると、それに合わせてどうにか辻褄を合わせようと、自己修繕機能が働くわけですよ。そうプログラミングされているんです。
でもだからこそ、私にとっては、理不尽だらけのリアルよりもずっと生きやすいーー。
とにかく、あれから1週間が経ちまして、本日、生徒会長のガーデンは解放された生徒達で賑わっています。
そう、お花見です。
チェリージャムの約束が守れないので、会長と私のお花見デートは流れてしまい、代わりに会長主催のお花見会が催されたのです。
水に桜の花びらを浮かべた、なんちゃって桜茶を配っていると、隅の方で一人黄昏ている先生を見つけた。
「先生、お疲れ様」
コップを渡そうとするが、先生は「いえいえ、オジサンはもう部屋に戻りますので」などと言って、受け取ろうとしない。
「オッサンって、七つしか違わないじゃないですか!文也くんも一緒じゃないとイヤだからね!」
先生の手を引きコップを握らせると、先生は頬を染め上目遣いに私を見る。
「そんなこと言って……期待させないでくださいよ」
困り眉の先生がいじらしくて、キュンキュンする。
そこへ、「さきたそ〜! あっちもよろしこ〜!」と追加の桜茶を持って来たのは、パッツン緑髪のお化粧男子・加賀美君。
「はいよー! またね、文也くん! 今日もイケてんね、加賀美くん!」
私はお盆を受け取ると、奥側のシートを目指す。
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