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右上に選択肢が表示されている。
『お花見がいいな』と『お茶しましょう』か。
どちらにしようかな?
もちろん「どちらを選べば両方攻略できるか」って意味で。
クール系生徒会長と癒し系教師、どちらも攻略するのが、逆ハー党の流儀。
百戦錬磨の私なら楽勝っしょ!
にしても……
私はまじまじと二人を見つめる。
没入感えっぐい! サバエデってブルダイブVRだったけ?
本物みたいーー
生徒会長の陶器のような頬につい伸ばしてしまったその手の首を、彼はグイと掴み引き寄せる。
「俺を選ぶんだな?」
耳元にかかる冷たい吐息に、私は我に戻る。
待って、何かがおかしいーーこの中途半端な始まり方は一体?
私は彼の手を振りほどくと、周囲を見回した。
学園もののはずなのにやけに静かだ。 BGMすら流れないなんて……。
私は出口に走ったが、扉は押せども引けども開かなかった。
「他のみんなは教室? もっといたよね? 赤髪マッスル君とか、金髪貴公子とかーー」
「彼らは淘汰された」
会長が無機質な声で言った。先生は目をそらし沈黙している。
嫌な予感がする。
そう言えば、このゲームのキャッチコピーって確かーー
『終焉の時、貴女は誰と番いますか?』
鈴のような声と共にステンドグラスが光り出し、私は思わず目をつむった。
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