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たった一人と永遠の愛を誓えと?
できるわけないじゃん!
移り気で男性トラブル絶えない女の血を引いている私に。
ちゃんと愛されたこともないのに、誰か一人を愛し抜くなんて……
「絶対無理! 大体、終盤も終盤で、対象二人だけって何? 全ターゲット出してよ! 一人残らず逆ハーしないと気が済まないわ!」
「そんな恥知らずな趣味嗜好のために、ゲームを荒らしてきたから、バチが当たったんですよ。製作者方の気持ちも考えず、ハッキングしてまで、ありもしないエンディングを捏造して……」
「あなたに何がわかるの? いいから最初からやらせなさいよ!」
私は再び扉に体当たりするが、手応えは全くない。
天使は説教を続ける。
「無駄です。貴方が干渉できるのは、彼らだけ。他の方とのフラグは既に折れています。自業自得ですね。その強欲なる優柔不断を悔い改め、自らの最期を選びなさい」
どこまでも理不尽な人生だ。
「残り時間は1時間です。悔いなきご選択を」
無責任に言い残すと、天使はステンドグラスに去って行った。
『ゴーン…ゴーン…』と、教会の鐘が四つ鳴った。
「一時間で決められなかったらどうなるの?」
私の問いに、会長は抑揚の無い冷え切った声で答えた。
「お前はイヴではなくなる」
つまり、『淘汰』されるということだろう。
迷っている時間はない。
これまでの人生、逆ハーエンドに捧げてきたんだ。
最後の最後で一途なエンディングなんて、考えられない!
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