2.天使のチュートリアル

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 たった一人と永遠の愛を誓えと?  できるわけないじゃん!  移り気で男性トラブル絶えない女の血を引いている私に。  ちゃんと愛されたこともないのに、誰か一人を愛し抜くなんて…… 「絶対無理! 大体、終盤も終盤で、対象二人だけって何? 全ターゲット出してよ! 一人残らず逆ハーしないと気が済まないわ!」 「そんな恥知らずな趣味嗜好のために、ゲームを荒らしてきたから、バチが当たったんですよ。製作者方の気持ちも考えず、ハッキングしてまで、ありもしないエンディングを捏造して……」 「あなたに何がわかるの? いいから最初からやらせなさいよ!」  私は再び扉に体当たりするが、手応えは全くない。  天使は説教を続ける。 「無駄です。貴方が干渉できるのは、彼らだけ。他の方とのフラグは既に折れています。自業自得ですね。その強欲なる優柔不断を悔い改め、自らの最期を選びなさい」  どこまでも理不尽な人生だ。 「残り時間は1時間です。悔いなきご選択を」  無責任に言い残すと、天使はステンドグラスに去って行った。  『ゴーン…ゴーン…』と、教会の鐘が四つ鳴った。 「一時間で決められなかったらどうなるの?」  私の問いに、会長は抑揚の無い冷え切った声で答えた。 「お前はイヴではなくなる」  つまり、『淘汰』されるということだろう。  迷っている時間はない。  これまでの人生、逆ハーエンドに捧げてきたんだ。  最後の最後で一途なエンディングなんて、考えられない!
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