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3.世界の綻び探し
たった二人とはいえ、攻略対象が複数いるのだから、逆ハー条件はクリアしている。成立させてみせるわ!
まずは正攻法でお手並み拝見。
「え〜、どっちも行きた〜い! 三人でお花見しながらお茶するのはどう?」
あどけなく提案してみる。
「却下。桜は生徒会長専属の中庭にあるんだ。お前以外を招くつもりはない」
会長は取り付く島もない。
「私のお茶も、温室で育てた花から採った貴重なペタルティーです。あなたとの成婚式で飲めたら嬉しいのですが……」
先生も控えめに拒んだ。
ダメか。
世界観的にも、やっぱりこのゲームは一途エンドオンリーのようね。
でもめげないわよ!
これまでも数多の乙女ゲーで、存在しない逆ハーエンドを作り出してきたんだもの!
次の手よ。
「ねぇ、扉を開けてもらえない? その、トイレに、行きたいんだけど……」
自分で開けられないなら、彼らに開けてもらえばいい。
ーーそう思ったのに、もじもじと恥じらう乙女に彼らは非情だった。
「さっさと俺を選べば済む話だ」と尊大な生徒会長。
先生はというと、「トイレも不衛生な状態ですから、そこの隅でしていいですよ。私が掃除します」と大らかすぎる。
ゲームキャラの極端な思考を前に敢えなく撃沈した。
かくなる上は、奥の手『ハッキング』しかない!
バグ報告に乗じサポートセンター経由で社内システムに潜り込むといういつもの手は、ゲームキャラと化した私にはもう使えない。
でも、『バグ』こそはこの世界の『綻び』。
設定上の矛盾をつけば、ルールの土台は揺らぐはず!
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