3.世界の綻び探し

2/2
前へ
/13ページ
次へ
 そうと決まれば情報収集よ。 「二人はなぜ選ばれたの?」 「俺が学園一優れているからに決まっているだろう?」  唐突な質問に、会長は快く自信満々に答えてくれた。  一方先生は、「選別計画も練合君の発案ですからね。私はまぁ、最終候補と言う名の立会人です」と力無く笑った。  ……生徒会長、勝ち確じゃん。自作自演のヤラセってこと?  本当に乙女ゲーなのか怪しくなってきたわ。 「成績だけで選ばれて、恋愛感情はあまり重視されていないってコト?」 「そんなことはない!」  二人のハモった声に逆ハー味を感じ、不覚にもトキめいてしまう。  生徒会長は私の腰に手を回す。 「出会った時からお前に決めていた。容姿端麗、文武両道なお前こそ、完璧な俺に相応しい」  なるほど、理央会長のタイプはレベルの高い女か。  彼にリードしてもらえたら、純粋に恋をエンジョイできそう。毎日が刺激的で飽きることなんてないだろう。  先生は私の手をとり、その甲に口付けする。 「私はあなたが、ノラ猫にお墓を作ってあげていたのを見て……それからずっとお慕いしてきました」  阿賀辺先生は、思いやりのある女性がタイプみたいね。  先生なら私のこと、一生大事にしてくれるんだろうな。穏やかで平穏な日々を送れそう。  でも……本当にいいのかな?  このまま彼らの愛を受け入れてしまって……  彼らが語るその女性は、私じゃないのに?  一生このゲームの中にいるとして、攻略後、私は彼らの理想に応え続けられるのだろうかーー  もし、彼らに私の本当の姿がバレたら、私はどうなってしまうの?
/13ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加