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先生が慌てて会長を止める。
「やめなさい、練合君! 君たちだけで人類をやり直すなんて、元から無理があったんです!」
普段は温厚な先生の叱責に、会長は「悪かった、つい……」と手を離す。
先生は私の肩をさすりながら語りかけた。
「灰岡さん、私を選んでください。みんなを解放して、やり直しましょう!」
耳を疑った。
「え? みんな殺されたんじゃ……」
「囚われているだけです。練合君を選べば安楽死させられてしまいますが、まだ間に合います!」
一筋の光が差し込んだ。
「先生を選べば、みんな助かるんですね?」
「ええ……」と先生が答えたとき、会長が祭壇を激しく叩いた。
「奴らを助けてどうなる? 劣った種が、破壊し尽くされたこの星を生き延びられるとでも?」
声を荒げる会長に、先生は「生徒の力を信じるのが教師の役目です!」と凛と返す。
まるで悪役 vs. 正義の味方みたいだ。
でも……捻くれ者の私には、先生の言うことが綺麗事っぽくも聞こえてしまう。
「全員分の食料はどうするんですか? 選別って、口減しが目的でしたよね?」
「生存も繁殖も自然に任せるのが一番! 私は生徒の主体性を尊重します」
先生は曇りない笑顔で答えた。
つまりは、ノープランってこと?
弱肉強食なんて、カオスまっしぐらじゃない!
どうしよう、どっちを選んでもバッドエンドしか見えない……
頭の中で再び警戒音が鳴り出すと同時、
『ゴーーーーーン』
時計の鐘が選択の時を告げる。
うわっ……もう、時間が!
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