8 貯金箱

1/1
11人が本棚に入れています
本棚に追加
/25ページ

8 貯金箱

 がんちゃんが訊ねた。 「おまえらいくらお年玉集まった?」  ヒロシと小野が答える。 「僕は七千円」 「僕は一万二千円」 「そうか。おれは一万円ぴったりだ。ところで、そのお年玉どうしてる」 「ママに預けてあるよ」 「僕は引き出しにしまってある」 「あまい!」がんちゃんは大声を発した。「親に預けていれば親に横取りされるおそれがある。引き出しなんかにしまってあったら、ついついだらだらと使ってしまう」 「じゃあがんちゃんはどうしてるの?」 「うまい策があるの?」 「ある。貯金箱だ!」がんちゃんは胸を張った。「貯金箱に入れておけば横取りされないし、無駄遣いもしない。骨董屋の店先に、陶器で出来たかっこいい竜の貯金箱がまえからあってな。欲しい欲しいとずっと思ってたんだ」  ヒロシが感嘆する。 「そうか。さすがあ、貯金箱か」  小野が訊ねた。 「その竜のかっこいい貯金箱、いくらしたの?」 「ふふふふふ。安もんじゃないぜ。聞いて驚くなよ」  がんちゃんはしてやったりの表情。 「一万円!」
/25ページ

最初のコメントを投稿しよう!