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8 貯金箱
がんちゃんが訊ねた。
「おまえらいくらお年玉集まった?」
ヒロシと小野が答える。
「僕は七千円」
「僕は一万二千円」
「そうか。おれは一万円ぴったりだ。ところで、そのお年玉どうしてる」
「ママに預けてあるよ」
「僕は引き出しにしまってある」
「あまい!」がんちゃんは大声を発した。「親に預けていれば親に横取りされるおそれがある。引き出しなんかにしまってあったら、ついついだらだらと使ってしまう」
「じゃあがんちゃんはどうしてるの?」
「うまい策があるの?」
「ある。貯金箱だ!」がんちゃんは胸を張った。「貯金箱に入れておけば横取りされないし、無駄遣いもしない。骨董屋の店先に、陶器で出来たかっこいい竜の貯金箱がまえからあってな。欲しい欲しいとずっと思ってたんだ」
ヒロシが感嘆する。
「そうか。さすがあ、貯金箱か」
小野が訊ねた。
「その竜のかっこいい貯金箱、いくらしたの?」
「ふふふふふ。安もんじゃないぜ。聞いて驚くなよ」
がんちゃんはしてやったりの表情。
「一万円!」
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