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「静香、今日もバシバシ行くぞ!」
高校を受験すると決めてから毎日放課後に、静香は千葉先生と英語の特訓をした。
「オレ、今までさぼってた分頑張るよ!」
「一つ言っていいか。『オレ』というのはもう止めろ。『私』と言え。丁寧な言葉遣いをしろ」
「わかったよ・・・いや、わかりました」
休み時間には音楽室を借りて、麻衣は静香にピアノを教えた。
「分散のアルペジオの指の動き。もっと滑らかになりますよ。力を入れすぎずに」
「オレ・・いや、わたしの手だと難しくね?」
「動きを工夫するんです。静香さんの手も私の手も、大きさは同じです」
「わかりました」
1学期末の定期テストで、静香は英語で学年で上位の成績を取った。家でもピアノのレッスンを受け、静香のピアノの演奏の技術はどんどん上がっていった。
「すごいね、静香。英語が学年で4番だなんて」
1学期末試験の結果が発表された日の放課後に、廊下を歩いていた静香に僕は言った。
「みんなのおかげだよ」
「もともと成績は優秀だったからな」
「オレ・・・いやわたしもまだやればできるって思った。俊彦はどうすんの? 俊彦も佐倉と同じ高校を受けるんだろ?」
「あの私立は僕みたいな凡人には受からないよ」
「佐倉と離れてもいいのか? お前ら付き合ってんだろ?」
「まだ付き合っているわけでは・・・。いつも一緒にいるだけだよ」
「それが付き合ってるって言うんだよ、うざいな、お前ら」
「僕だって佐倉さんと同じ高校には行けたらいいとは思うよ。でも今さら難関私立受験には間に合わないよ」
「そんなこと言うな。お互い頑張ってみようぜ」
「・・・うん」
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