エンドレス☆ワルツ

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         -25-  僕も、麻衣や静香と同じ高校を受験する決心をした。放課後に自習室で僕は麻衣から勉強を教わった。夏休みに初めて僕は塾に通い、そこで夏期集中講座を受けた。  新学期に学校で受けた模擬試験で麻衣は志望校がA判定だった。よほどのことが無い限り、麻衣は合格する。 「わたしは、F判定だよ。ま、わたしは一般入試じゃないんだけどさ」  静香が僕と麻衣に言った。 「僕はD判定。やっぱりだめだよ。よほどのことが無い限り受からない」  僕の言葉を聞いて麻衣は微笑んだ。 「まだ可能性があります。半年あれば、B判定まで必ず上がります」  静香の仲間の女子たちも人が変わったように勉強した。あの合唱コンクールでの優勝以来、1組はとても団結力が強くなり、みんなで助け合って勉強をし、5クラスあるなかで突出して偏差値の高い、まるで特設進学クラスのような体をなしていった。  秋の模試で僕はC判定になった。冬休みにまた塾へ通い冬季集中講座を受けた。そして3学期初めの模試でB判定となった。 「わたしの英語の判定はBらしいよ」  静香が僕と麻衣に言った。 「へえ、すごいじゃん。ほぼ受かるよ」 「そうですね」 「たださ、ピアノがダメみたいなんだ」 「は?」 「家に来る講師に言われたんだ。個性が強すぎるって。楽譜と違うって。だから判定不能だってさ。それってF判定と同じじゃね?」 「あの高校は比較的個性を重視すると聞いています。けど、それなら楽譜通りに弾いてください。王道で行きましょう。静香さんにはとても簡単なことのはずです」 「それがさ、弾き始めるとつい自分の世界にはいっちゃうんだよね」 「けど、試験に受かるためには、そうするしかありません」 「いいよ。わたしが弾きたいように弾いて落ちたならそれでいい」 「ダメだよ。せっかく佐倉さんがくれたチャンスなんだ。きちんと弾こうよ。受かってから好きに弾けばいいじゃん」 「私もそう思います」 「うん。そうだな」  静香は頷いた。  
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