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合格発表後の日。僕と麻衣と静香は、受験した私立高校の合格発表の掲示板を見に行った。僕たちはそこで一緒に合否を確認する約束をしていた。
「あれだ、あれ!」
校門を通り過ぎたあと、静香が指をさした。僕たちは掲示板の前に行った。スマホでも合否が確認できる時代に、わざわざ掲示板を見に来る生徒などおらず、そこには誰もいなかった。
「ありました!! 私の番号!」
麻衣が言った。
「おめでとう、佐倉さん!」
「佐倉、良かったな!」
僕は自分の受験番号を探した。麻衣が「わあ!」と言った。
「106番! 俊彦さんも、合格です!」
「え、合格・・・?!」
「俊彦、やったな! おめでとう!」
そのあとしばらくの間、静香は掲示板を眺めていた。
「あのさー。わたしの番号はやっぱ無いよ・・・」
「え?」
僕と麻衣は静香の元に歩み寄った。
「しかたね~。これで俊彦との腐れ縁も終わりだな。まあ、お前たち二人が受かって良かったよ。わたし・・いやオレは嬉しいぜ・・・!」
「静香さん・・・」
「佐倉。今までありがとう。そして申し訳なかった。足を蹴ったりしたこと、許してくれ」
それから静香は空を仰いで泣いた。
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