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あゆか「うわぁ、すごいねぇ」 たかし「お花見に来てよかったじゃん。ここの花見、有名だから」 あゆか「すごい花粉」 たかし「桜じゃなくて花粉なんだ」 あゆか「ね、ね、見て見て」 たかし「何?」 あゆか「桜がある!」 たかし「お花見会場です。ドびっくりだよ」 あゆか「でも不思議だよね」 たかし「何が?」 あゆか「恋人でもないのに一緒にお花見に来るなんて」 たかし「え、えーっ?!ちょ、ちょっと待って、あゆかちゃん」 あゆか「さん付けしてくれる?」 たかし「あ、ごめんなさい」 あゆか「さん付けじゃないと自分のことと思えないのよ」 たかし「そこまで?完全に他人だな。ド発見。でもさ、先週、オレ告白したよね」 あゆか「覚えてるよ。サバの水煮缶が好きなんだよね」 たかし「それもしたけど、もっと大事なド告白」 あゆか「女物の下着盗んだ件?」 たかし「うん、確かにしたよ高校の時。1回だけだよ。いや、それじゃくさ」 あゆか「人を殺したやつだっけ?」 たかし「それオレじゃない!誰の話」 あゆか「あ、パパだった。ごめんごめん」 たかし「ド驚愕だよ。オレそんな人の娘に告ちゃってたのかぁ」 あゆか「あ、思い出した!宮川橋を渡ってた63歩目で、つきあってくださいって言われた遥か遠い彼方のうっすらとしたナノサイズの記憶が微かにだけど蘇って来た。すごくない私」 たかし「すごくない。ド先週!しかも、歩数数えてたんだ。まぁそんなことはいいや。オレ、ド根性出して告ったんだよ。その時さ、いいわって確かに言ったよね」 あゆか「魔がさしたのかな。怖いね」 たかし「えーっ!本心じゃないの?じゃあなんで今日、一緒に花見に来たのよ」 あゆか「魔がさしたのかな」 たかし「さしすぎだよ。コパカバーナの日差しか!じゃあ僕たちはつきあってないわけ?」 あゆか「ジャンケンで決める?」 たかし「そんなんでいいの?」 あゆか「ドいいよ」 たかし「そのドの使い方はおかしいから。じゃあ、ジャンケンで僕が勝ったらつきあうって感じ?」 あゆか「違うわよ。私が負けたらつきあうの」 たかし「ドおんなじ!」 あゆか「そのドの使い方もおかしくない?」 たかし「確かに。気が動転してるな。何回勝負にする?」 あゆか「こんなバカなことに時間使いたくないから1回」 たかし「なんだろ、このフツフツ湧き立つ殺意。オレほんとは誰か殺してたかな。まぁいいや。じゃあ1回ね」 あゆか「でも私が負けたらもう1回ね」 たかし「お姫様のやり口!まぁ、1回くらいはおまけでいいよ」 あゆか「違うよ。私が勝つまでやるってこと」 たかし「1回勝負って話は?!って言うかつきあう気ゼロだよね」 あゆか「すごい霊感!」 たかし「ド・ドキュメンタリー!・・わかった。もう諦めるよ」 あゆか「じゃあそんな哀れなたかし君に、チャンスターイム!」 たかし「もういいよ、って言いながら喜んでる自分がド悲しい。何?」 あゆか「1時間以内に、人を1人殺して来たらつきあうわ」 たかし「・・・親子のDNAすごいわ。無理です。もうけっこう。帰るわ」 あゆか「えーっ、まだ1時間もあるのにひとりでどうしよ」 たかし「え、1時間って何?」 あゆか「彼氏が来るまで」 たかし「ドんでん返しぃ〜!」 あゆか「ドの使い方が甘い」 たかし「じゃあそういうことで」 あゆか「たかし君。つきあうのは無理だけど、こんなのどう?」 たかし「なんだよ」 あゆか「つきあうことはつきあうんだけど」 たかし「えっ・・つきあうんだけど?」 あゆか「ドつきあうの」 たかし「大きめの石、必要だね」          【了】
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