【番外編③】似た者夫婦 ※ジョージside

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【番外編③】似た者夫婦 ※ジョージside

「増えすぎた……どうしたらいいんだ」 「レオ様。どう考えても、もうこれ以上は無理です。他に秘密裏にもらって頂けるお宅を探すしか……」  執務室で頭を抱えているのは、王太子レオナルドと王太子妃コレット。どっちも天然の似た者夫婦。深刻そうな顔をしているが、どうせ取るに足らないしょうもないことで悩んでいるだけだろう。  関わらないようにしておこう。 「ジョージ! いい所に来た!」 「ジョージの意見を聞かせてください」  ……ヤバイ、巻き込まれた。  レオは国王陛下の代理でバリバリと仕事ができるほど優秀な面もあれば、このコレットがらみのことになると突然ポンコツになる時がある。  今日はポンコツ方面の内容な気がしてならない。 「一体何が増えすぎたんだ?」 「何を隠そう……ムーンライトフラワーだ」 「ムーンライトフラワー……ああ、あの伝説の。えっ、実在するのか?」  ムーンライトフラワーと言えば、数年前に俺たちを悩ませた『乙女ゲーム』とかいうシナリオに出てきたアイテムだろ。思い出したくもない、嫌な記憶だ。 「実在するも何も、王宮の裏庭に掃いて捨てるほど生えているんだ」 「ジョージ! そんな呑気な顔をしているけれど、あの花は考えようによっては危険な花なのです! だってあの伝説は本当だったんですもの……!」  この夫婦は、時々アホだ。  今時、たかが花の伝説なんて本気で信じる奴はいないだろう。君たちが結婚したのも、花の伝説のおかげじゃないと思うぞ。
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