【番外編②】初めての待ち合わせ ※レオナルドside

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【番外編②】初めての待ち合わせ ※レオナルドside

本編 第19話 「王太子と初めてのキス」のレオナルドsideのストーリーです。 . . *:・゜。*:・゜*:・゜。*:・゜。*ㅤ  自分で言いたかったのに。  九年も拗らせた俺のコレットへの想い。  好きになった時にはコレットには既に憧れの片思いの相手がいて、決死の覚悟で「可愛い」と伝えたら大声を上げて逃げられ、過去のことを謝ったら慰謝料をくれと言われる。  そんな苦難を乗り越えてやっと告白しようとしたら、ジェレミーが俺の気持ちを要約してサクッと伝えやがった!  挙句の果てにコレットには、『お友達から始めましょう』と突き放される始末。  ……俺、一応王太子だぞ?  九年婚約してるんだぞ?  納得のいかない点も多々あるが、仕方ない。想いを拗らせすぎて、コレットに冷たく当たってきた俺が悪いんだから。そうやって俺は、『お友達から始める』ことにした。  そんな俺に、今人生最大のチャンスが巡ってきている。  見てくれ。  ……コレットが俺の手を握っている。  いやいや仮にも婚約者なんだから、手を握ったことくらいあるよ。子供の時はよく手をつないで歩いていたし、エスコートする時やダンスの時に、絶対握らないとダメだろ。しかも、手を握られたくらいでウハウハ喜ぶほど、俺はガキじゃない。  重要なのは、手を握る必要性もないのに、コレットの方から俺の手を握っているという事実。  これは、『お友達』から『恋人』に昇格したという合図なのだ! 異論は認めない! 「俺と手を繋いだな」  コレットは、きょとんとした目をしている。まさか、忘れたわけじゃないよな。 「友達同士は手を繋がないんだったな」  もう一押しだ。ああ、もうコレットの唇しか目に入らない。なんなんだ、この色白の肌に映えるピンク色の柔らかそうな唇は。おい、ズリズリと後ろに逃げるな。 「……キスさせて」  もう俺から逃げないでくれ。絶対にコレットの事を守ってみせるから。もう、観念して俺と結婚すればいいじゃないか。いくらでも責任は取るぞ。  馬車の壁際まで追い詰めて唇を近付ける。鼻と鼻が触れた時にコレットが一瞬ビクっとして、彼女の緊張が伝わってくる。 「……三秒ルールでお願いします!」  は? 三秒ルール? この期に及んでキスを三秒で止めろと?  目の前で一生懸命に、謎の『三秒ルール』を説明し始めるコレット。  ……おい、それは逆効果だ。  そうやって茶化して緊張を誤魔化そうとするところも、俺は大好きなんだから。  延々としゃべり続けるコレットの唇を、俺はそっと塞いだ。
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