【続編】第2話 悪役令嬢は拗らせる

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 自分で作った絵本で読み聞かせしながら眠りにつくなんて素敵でしょう? 月に一冊絵本を作るとして、一年で十二冊、二年で二十四冊、……五年で六十冊!  ……って、一体何百冊作った頃に我が子が生まれるのよ!  ……失礼、取り乱しました。   「コレット、あんた大分拗らせてるわね」 「メイ……あなたに言われたくないわ。いまだに誰一人攻略できていないじゃない。あなたも私と同じ嫁き遅れよ」  メイが私の侍女になって、何年経ったかしら?  乙女ゲーム『ムーンライト・プリンセス』のヒロインとしてこのグランジュール王国に転生したメイと、悪役令嬢の私。今は主人と侍女という関係ですが、なかなか上手くやっていると思います。  それもこれも私が、態度も口も悪いメイを怒らずに受け入れてあげているからですけどね。  お嬢様、と呼ぶべきところ、メイったら私のこと「コレット!」って呼び捨てですから。 「大体あんたが、たかがキスの事すら『待ち合わせ』とか言っちゃってさ。そうやってカマトトぶるから良くないのよ。レオだって、もっと色気のある女がいたらそっちになびいちゃうわよ」 「……レオ様はお仕事が忙しいだけなのよ! お色気女性になびいたりなんて、レオ様に限って有り得ないわ」 「分かんないわよ。だって、適齢期を超えた婚約者同士がこんなに長い間会えないなんておかしいもの。きっと浮気よ、浮気」
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