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「君はまだ、恋も、愛も知らないんだね」
まだ中学生だった僕からすると、彼女はとても大人びて見えた。
「いつか君も、恋をして、誰かを好きになって…誰かのことを、愛おしく思うことが出来る。そしたら、きっとわかるよ」
僕の髪の毛を、子供をあやす様に撫でる。
僕が求めていたのは、そんな子供扱いじゃなのに。
僕は、僕は。
「さっきの言葉は、君に誰よりも愛おしい相手ができた時に、言ってあげて?」
そういって、彼女は僕の前から消えた。
あれから何年経っても、僕は、彼女以上に心を揺さぶられる相手に出会うことは無かったけれど。
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