春の朝の朝食には目玉焼き

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「お父さん、あの日、酷いこと言ってごめんね」 あの日、ぶつけた言葉達。 「咲、いいんだよ。あの頃とても辛かったんだから。それよりも、これから幸せになって行かないと」 そう言って包み込んでくれる言葉が。 「お父さんとお母さんの娘で良かった。ありがとう、お母さん、お父さん」 やっと素直に伝える事ができた言葉。 「お父さんこそ、ありがとう。咲のおかげで楽しい日々だった」 大人になった今ならもっと分かる父の努力。 働きながら、子供を不自由なく育ててくれた。 お互い涙を流しながら、笑っている。 今まで色々あったよね、そう笑える日が今日だった。 「さぁ、彼が待ってるから、式場へそろそろ行こうか」 そう、今日は、私の結婚式。 父と母の溢れるほどの愛情を胸に、世界一大好きな人と人生を共にしていく。 『いってらっしゃい、咲』 玄関のドアをくぐる時に、懐かしい母の声が聞こえた気がした。
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