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もしかしたら、そんな弱い立場から脱却したかったのかもしれない。
本来のあの子は。
「や、あぁ……んっ」
ルーナの心のどこかに残っていた冷静さは、王子に乳頭を口に含まれたことで霧散した。
王子はルーナの胸の先端を口に含むと、舌先でちろちろと乳輪の周りをなぞった。
「あ、あぁ、やぁ……んっ」
同時に反対の膨らみをやわやわと揉んでくる。
乳首が痛いほど硬くなり始め、腰のあたりにぞくりとした震えが走った。
「思いのほか、お前、かわいいね……そう言えば、名前は?」
(今更ね!!)
こちらは自己紹介しなくとも王子の名を知っているが、王子は知らなくても当然だろう。
「っは……ぁんっルーナ・ディ、ローザ……と申し、ますわ。王子様……っ」
人が名乗っているときくらい、手と口の動きを止めてくれてもいいのに。
止めてくれないから、妙に途切れ途切れになってしまう。
(てか、この人、名前も知らない女を襲ってたのか)
端からみれば、王子が身分を盾に犯罪まがいのセクハラをしているようにしか見えないだろう。
それもあながち間違ってはいないが。
(だけど、私は知っている)
この王子様が、寂しい人だと言うことを。
その寂しさを埋めるために、女を抱いているのだということを。
その理由も何もかも。
ルーナは知っていた。
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