1話

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 しかし不景気により経営が悪化し、王家に助けてもらう代わりに、ルーナは城のメイドとして働くことになったのだ。  正直、その時点で嫌な予感はしていた。  前世の記憶は年々少しずつ思い出していて、メイドになった時にはもうすべてを思い出していたからだ。  この世界は、ルーナが前世で大好きだったゲーム『MRL』の世界に酷似しすぎている。  だからこそ、万が一にもゲームと同じことにならないようにと。余計なことをしないように、普通にメイドとして働いてきたというのに……。    あれから二年。 (まじでなんでこうなった!!)  ◇◇◇◇◇◇    ハイリ・ディティファンス・コンラート。  またの名をパーフェクトプリンス。  それがこの国、コンラート王国の第三王子である。  常に笑みを絶やさず、何事もさらりとこなすため、貴族からも国民からも人気が高い。  全女性国民の憧れの的だ。  ……というのは表の顔で、実はドSの腹黒。  しかも、ルーナはメイドになった初日から手をつけられる。  前世で彼のルートをやった際、散々いじめられた覚えがあった。 『MRL』の物語は、ルーナが王子付きのメイドになるところから始まる。  そこから自身の体を使って成り上がっていくのだが……。 (どうにかして専属メイドを辞退できないかな)  勘弁して欲しい。
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