177人が本棚に入れています
本棚に追加
しかし不景気により経営が悪化し、王家に助けてもらう代わりに、ルーナは城のメイドとして働くことになったのだ。
正直、その時点で嫌な予感はしていた。
前世の記憶は年々少しずつ思い出していて、メイドになった時にはもうすべてを思い出していたからだ。
この世界は、ルーナが前世で大好きだったゲーム『MRL』の世界に酷似しすぎている。
だからこそ、万が一にもゲームと同じことにならないようにと。余計なことをしないように、普通にメイドとして働いてきたというのに……。
あれから二年。
(まじでなんでこうなった!!)
◇◇◇◇◇◇
ハイリ・ディティファンス・コンラート。
またの名をパーフェクトプリンス。
それがこの国、コンラート王国の第三王子である。
常に笑みを絶やさず、何事もさらりとこなすため、貴族からも国民からも人気が高い。
全女性国民の憧れの的だ。
……というのは表の顔で、実はドSの腹黒。
しかも、ルーナはメイドになった初日から手をつけられる。
前世で彼のルートをやった際、散々いじめられた覚えがあった。
『MRL』の物語は、ルーナが王子付きのメイドになるところから始まる。
そこから自身の体を使って成り上がっていくのだが……。
(どうにかして専属メイドを辞退できないかな)
勘弁して欲しい。
最初のコメントを投稿しよう!