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あのゲームのような出来事が、実際に自分の身に降り掛かってくるなど真っ平ごめんだ。
前世では、野心のある主人公のことをかっこいいと思っていたが、それが我が身となるとあの振る舞い方は到底できない。
(私は平和な人生を望む)
大人向け乙女ゲームの主人公ゆえなのか、長い金の髪が美しい超絶美女に転生したものの(しかもボンキュッボン!)、中身は前世のままなのだ。
ドラマティックな展開は結構。
普通のメイドの立場で十分満足だ。
だがしかし、一介のメイドの立場で上司からの指示を断れないのもまた事実。
(とりあえず従いつつ……どうにか辞退できないか方法を探そう)
そう決意を固めた矢先、王子から呼び出された。
◇◇◇◇◇◇
王子の私室を訪ねると、彼は優雅に片足を組んでベッドに腰掛けていた。
王子の金の髪がさらりと揺れる。
「君が、僕の新しい専属?」
「はい、(不本意ですが)よろしくお願いします」
不本意ながら頭を下げると、王子がニヤリと笑った。
……嫌な予感がする。
始まって早々、ゲームの流れにきちんと沿ってしまっている。
(に、逃げなきゃ……)
このままでは抱かれてしまう。
「へぇ、そっか。前の子が逃げてからしばらく専属いなかったんだよね」
王子はベットから立ち上がると、つかつかとルーナの側まで近づいてきた。
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