177人が本棚に入れています
本棚に追加
ぐっと腕を引っ張られ、唇が触れてしまいそうな距離まで顔が近付く。
「ストレスが溜まってるんだ……。付き合ってよ」
王子はそう言うと、ルーナの唇を奪った。
(ちょっと待って、ちょっと待って!)
転生して早18年。
薄々勘づいてはいたものの、前世でプレイしていた乙女ゲームとまったく同じ世界だと確信をもって10分足らず。
物の見事にゲームのストーリーと同じ展開を踏んでしまっている。
(いやいやいや、まずいでしょ、これ!)
このままではそのまま貞操を奪われ、目も当てられないような淫らな生活が始まってしまう。
(それだけはどうにか回避……!)
王子がキスを深めようと、ルーナの閉じた唇を執拗に舌先でなぞってくる。
そのくすぐったさにぞくりと背筋が震えるのをどうにかこらえながら、ルーナは王子の胸を押した。
「王子、おやめ下さい……メイドごときに手を出されては王子の品位に関わります」
「へぇ、僕の品位か……。それは皆が知った場合の話だよね? バレても口を封じれば、それで良くない?」
「な……っ」
王子の性格など、前世でとっくの昔に把握している。
それでも彼のそのセリフに驚きが隠せず、口を開けてしまった。
無防備に開いたルーナの唇に、王子の舌がねじ込まれる。
「ん……っ!」
王子が角度を変える度、彼の柔らかな金の前髪が目元をくすぐる。
最初のコメントを投稿しよう!