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うっすらと目を開けると、王子の長いまつ毛が目に入った。
(うわ! なっが! あんた、女の子か!)
女の子のような綺麗な顔立ちをしている癖に。
ルーナの腰を力強く支えている腕は男のもので、逃げようにも逃げられない。
深く口付けられて、息苦しさに涙が滲む。
「はぁ……っ」
酸素が足りない。
唇を離されたと同時に、くたりと王子の胸に寄りかかってしまった。
「はぁ……。君、意外と誘うのが上手いね」
(誘ってない! 誘ってないよ!?)
寄りかかってしまったのを誘ったと思われたのなら勘違いもいいところだ。
脳内でははっきりと突っ込めても、現実ではそうはいかない。
息をするのでやっとの状態だ。
王子はルーナの腕を掴むと、そのままベッドへ押し倒した。
「きゃ……っ」
(マジでやばい。これはまずい!!)
「これは、久しぶりに楽しめそうだ」
ペロリと唇を舐める王子を見上げ、ルーナは引きつった笑みを浮かべるしかない。
(勘弁して!!)
ただ、前世で『MRL』が好きだっただけなのだ。
決して、ゲームの展開が現実になることを望んでなどいなかった。
それなのに。
(神様のバカーーーー!)
王子が覆いかぶさるようにして、再びキスをしてくる。
避けようにも腕をベッドに押さえつけられていて、自由にならない。
ルーナはぎゅっと目を瞑った。
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